アロマティカの視線が地面に向いた瞬間
アロマティカは常に原料から出発してきました。エッセンシャルオイル、ハーブ、そして根が持つ香りと効能を追い求め、自然の治癒力に信頼を寄せ、肌への働きについて深く考えてきました。これまで私たちはハーブを、花や葉、その美しさや機能といった表面的な側面から捉えてきました。しかし今日、私たちはハーブの根底にある土壌、つまりハーブが育ち、根を張る土壌に着目しています。 
地球の皮膚、土壌の信号
私たちが毎日呼吸し、肌に塗る天然成分は、結局のところ土壌から生まれます。植物の成長は土壌から始まり、それを可能にするのが表土です。表土とは、岩石、植物、昆虫が分解して何世紀にもわたって形成される、わずか5~20cmの薄い土の層です。この表土には、植物の成長に必要な栄養素が含まれています。表土は水を循環させ、炭素を貯蔵し、気候変動を緩和し、地球上の生物に食料と住処を提供します。
しかし、国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の土壌の約33%はすでに中程度から高度に劣化しています。この傾向が続けば、2050年までに世界の土壌の90%以上が劣化する可能性があります。毎年25億~40億トンの表土が浸食によって失われており、これは年間7,600万トンの穀物生産量の損失に相当します。私たちが頼りにしている植物の力強さ、そしてそれらがもたらす治癒力は、その下にある土壌が崩壊してしまえば、維持することはできません。
表土が崩壊すると、生物多様性も失われる
健全な土壌は、植物にとって単なる栄養源ではありません。土壌には、微生物、菌類、昆虫、そして目に見えない生命体など、無数の生物が息づいており、土壌の呼吸を支えています。土壌は、まさに地球上で最大の生物多様性の生息地です。しかし、農薬、化学肥料、そして大規模な単一栽培によって、この生態系は急速に破壊されています。

アロマティカの生きた土壌への第一歩
アロマティカでは、自然を害する破壊的な生産方法に深い懸念を抱いており、より持続可能な方法で栽培された原材料の使用を拡大しています。これは、表土を保護し、生物多様性を保全するための方法でもあります。
最初のステップとして、地域の生態系を脅かすホップ蔓( Humulus japonicus )などの外来種を除去し、在来種の種子に置き換えるプロジェクトを開始します。これは単なる除去にとどまらず、生きた土壌を再生するための取り組みです。蔓の下に閉じ込められていた土壌を解放することで、日光が戻り、根が成長できるスペースが確保され、ミツバチや蝶が生息域を取り戻すことができます。

呼吸する土壌、生態系の再生
私たちは、明確な終わりのない旅を始めようとしています。私たちは、侵略的な植物を抑制し、種を蒔き、土壌とそこに生息する生物の変化を追跡します。ドローンによる分析と土壌生物指標を用いて、土壌再生の科学的プロセスを記録していきます。
この秋、在来種の種子から作ったシードボールを植えます。冬の間、それらは土の中で眠り、来春には静かに芽を出します。アロマティカは今、根付いた持続可能性を訴えています。土壌の再生は生命そのものの再生であるため、私たちはこの道を歩み続けます。

