「絵画はドヨンの声です。」
25歳のアーティスト、キム・ドヨンは、絵画という言語を通して世界とコミュニケーションをとっています。自閉症スペクトラム障害を抱える彼は、紙の上の線と色を通して、独自の世界を表現し始めました。直接的な視線を交わすのではなく、作品の中で生き生きとした、魂のこもった視線を捉えます。その視線は、言葉によらず、見る者に力強く語りかけます。

私たちの同僚、絵画を通して語るアーティスト
今年、アロマティカはキム・ドヨン氏をブランドファミリーの一員として迎え入れました。このパートナーシップは、単にアートワークの共同制作にとどまりません。同僚として共に働き、それぞれの違いによって形作られる未来を想像することです。発達障害のある子どもを持つ親にとって、 「未来」という言葉はしばしば手の届かないものに感じられます。ドヨン氏のご両親も例外ではありませんでした。
「私たちは皆、同じ願いを抱いています。それは、我が子より少なくとも一日でも長く生きることです。それは、自閉症の子を持つすべての親の心からの願いです。」
重い問いを二人は抱えていた。 「我が子は本当にこの世界で自立できるのか?社会の一員として生きていけるのだろうか?」その重荷は、まるで石のように二人の肩にのしかかっていた。そんなある日、ドヨンは「アロマティカ ビジュアルデザインチーム マネージャー」という肩書きが刻まれた名刺を受け取った。
父親は目に涙を浮かべながら、その時のことを次のように思い出した。
私たちにとって、息子のドヨンが社会の一員として活躍する姿を見ることができたのは、まさに奇跡でした。今でも現実とは思えません。韓国では、企業が障がい者を正社員として雇用することは非常に稀です。ほとんどの企業は罰金を支払ったり、業務を外部委託したりしています。しかし、アロマティカは息子に自らの意思で社会と繋がる機会を与えてくれました。心から感謝いたします。

私たちもドヨン氏に深く感謝しています。彼の存在は私たちのブランドを豊かにしてくれます。私たちが大切にしている価値観、つまりサステナビリティ、純粋さ、そして本物であることは、彼の作品を通して表現されることで、より深く心に響きます。私たちが愛するエッセンシャルオイルの純粋なエッセンスのように、彼の絵画は静かに、そして鮮やかに私たちの生活に浸透していきます。

今、ドヨンの作品はアロマティカの製品の中に息づいています。彼の愛する動物たちのまなざしを映し出した香りもあれば、彼が暮らし、愛したメキシコの鮮やかな色彩を捉えた香りもあります。アロマティカでは、彼の作品を単なる「デザイン」として捉えることはありません。彼の芸術は人生そのもの、言葉ではなく色と形を通して世界へと語りかける声なのです。

共に生きることの意味を問う
アロマティカがキム・ドヨンと共に歩むことを選んだのはなぜでしょうか?それは、単に誰かのユニークさを称賛するためではありませんでした。私たちは、障がいのある世界を「支援」の対象としてではなく、共に生きる上で不可欠なものとして受け入れたいと考えました。見過ごされ、見過ごされがちなものに真摯に向き合うとき、ブランドは真の哲学へと進化していくのです。
ドヨンの絵画は、言葉よりも明確で真実な色彩で、私たちの哲学に命を吹き込みました。

父親はもう一度、重々しく言った。
自閉症の子どもたちの家族全員を代表して、この言葉を贈りたいと思います。これは誰かが歩んだ道ではありません。だからこそ、この道はかけがえのないものです。アロマティカとドヨンの物語は、他の企業が注目すべき勇気ある行動です。そして、それは明日を想像することさえ難しい、数え切れないほど多くの自閉症の子どもたちとその家族に届く一筋の光なのです。
ドヨンとの出会いが、孤独に苦しむ誰かに「生きる価値のある世界」と「待つ価値のある希望」を信じる勇気を与える種となることを願っています。

製品に織り込まれた物語
アロマティカは、製品だけでなく、物語も皆様の手に届けたいと考えています。良質な原料やパッケージだけでなく、私たちがどのように共に生きていくかについての物語です。キム・ドヨン氏との旅は、私たちのブランドの方向性を示すものであると同時に、社会としての生き方を再考するための真摯な提案でもあります。
この旅が、温かい絵の具の優しい一滴のように、静かに誰かの心に触れ、人生に溶け込んでいきますように。
「それは単に違う方法だ。しかし、私たちは同じ世界に生きているのだ。」

